涙もまた天然睡眠薬

私は男です。男は泣いてはいけないと言われて育ちましたが、かなり涙もろい。映画の泣けるシーンでは、脚本家の計算通りに泣いてしまうタイプです。さすがに号泣はしないけど、涙と鼻水は止まらなくなります。

不思議に泣いた後は心に余裕が生まれます。カタルシスなのでしょうか?ストレスの多い現代社会。涙が天然のストレス緩和剤になるのなら、週に一度くらいは泣きまくる夜を作るのも宜しいのではないでしょうか。ストレス緩和は直接、深い眠りに繋がります。

涙とストレスの関係を優しく解説している「共感する脳」という本があります。著者は有田秀穂さん。神経ホルモンの分野では日本の権威のお一人です。本文の中で涙の効用と神経メカニズムを解説していますのでダイジェスト的にご紹介します。

「涙を流すのは究極のストレス緩和作用」と著者は書きます(p138)。「究極」とまで表現するのです。ストレスとは、闘争と集中の神経である交感神経が強く働きすぎる状態です。休息と自然治癒力の神経である副交感神経にシフトできない状態です。

涙腺が刺激され、涙が止まらない時、交感神経からシフトして、副交感神経が優位に働きだします。普段、副交感神経にスイッチが入るのは、睡眠時です。泣く行為は覚醒中に副交感神経にスイッチが入り、脳がリセットし、ストレス解消へと繋がります。

涙を流す場面は色々ですが、共感、感動、心の琴線に触れた時、額の下部の前頭前野という部分が最も活性化するとの事。この前頭前野は非言語コミュニケーション、共感、感性に関係している部分であり、セロトニンの分泌も活性化します。

セロトニンは心の状態を調整し、良好な社会性を促します。そして、セロトニンは夜間にメロトニンに変化し、眠りを誘い良質な睡眠を促します。泣く事が、副交感神経のスイッチを入れ、自然治癒力を高め、感性を刺激し、セロトニンまで分泌する。これは、まさしく究極です。

泣いた後は、しっかりと余韻の時間を取り、自然に感情が静まるようにする(p136)、との文もあります。泣くとは現実から別世界に行くことであり、しっかりと戻る時間も大切、という示唆です。

あるラクビー部は、先輩達の引退試合の前に、今までの苦しい練習や苦労を回想し、男泣きをしてから試合に臨むと言います。泣く事で、潜在的な力を引き出すゾーンに入れるのかもしれません。

中国の南京で、「泣きバー」が流行しているとのニュースがありました。日々のストレスを、泣いて振り落とす場所のようです。バーのオーナーは人の泣きたい欲求があるのに、泣く場所が無いので店を開いたとの事です。

たまには、泣くための時間を作る事が必要かもしれません。泣ける映画、泣ける音楽、泣ける芝居、泣かしてくれる語り手、等々。涙を流す文化は存在します。きっと必要だからです。涙を流して自分を取り戻す。そんな時間もあってイイ♪

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