メラトニンの抗酸化能力

「メラトニンは単なる抗酸化物質にとどまらない。これほど多方面に強い影響力を及ぼす抗酸化物質はみつかっていない。ビタミンEの二倍、グルタチオンの5倍、DMSO(人工合成のジメチルスルホキシド)の500倍もの抗酸化パワーをもっている。」と語るのは「奇跡のホルモン、メラトニン」という本の著者、ラッセル・J・ライター博士です。博士の三年に渡る調査結果の一端です。(1)

抗酸化物質とは何でしょう?鉄がさびる事も酸化と言います。鉄が酸素に長時間触れる事で起きる現象です。人間の生命の仕組みも、酸素を利用する事で活動を維持していますので、副作用で細胞に酸化が生じます。細胞がさびて使い物にならなくなるようなイメージです。がん、アルツハイマー病、白内障等々、非常に広範囲に渡る、病気や老化を引き起こすのが細胞の酸化です。抗酸化物質とは細胞が毒化する酸化に歯止めをかける事です。

ライター博士は、メラトニンに強力な抗酸化作用がある事を発見します。博士自身この発見に驚愕し、メラトニンの分泌を促す事が、病気や老化の協力な予防となる事をこの本の中で示します。

人間の体液の中に存在するメラトニンというホルモンの存在は、1950年台に発見されました。最初は脊椎動物特有の物質と考えられたようですが、その後の研究で、動植物を問わず、広範囲の生物が共有する物質である事が分かりました。脊椎動物、昆虫、軟体動物、シイタケシメジ等、シダ植物、被子植物、細菌類、等々、調査した全ての生物にメラノサイトが存在していました(02)。

ほぼ全ての生物と言って良いほどに、広範囲の生物が共通してメラトニンを持つという事は、メラトニンが進化の初期に発生し、生命を維持する上で基礎的役割を担ったのではないかとも考えられています(03)。

20億年以上前の進化の初期の段階で、我々の細胞の祖先は酸素の利用を始めます。しかし酸素の利用は、生命にとって両刃の剣でした。大きなエネルギーを生み出しますが、酸化という生命の危険も生じます。酸化物質を除去する性質が無ければ酸素を利用する事はできません。メラトニンは進化の初期において、酸素を安全に利用するために発生した可能性も示唆されています。(4)

メラトニンがあるから、我々の細胞の祖先が酸素を活用できたとすれば、20億年以上に渡って、メラトニンは生命の進化を見守り続けてきた、進化の守り神と言えます。

参考図書
(1) 「奇跡のホルモン、メラトニン」p50
(2) 「脳内物質メラトニン」p10
(3) 「メラトニン研究の最近の進歩」p26
(4) (1)のp51、(3)のp28

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ